浅田顕氏の新たなプロロードレーサー輩出プロジェクト「ロード・トゥ・ラヴニール」始動! “7つ”の活動とは

12月15日、長年ロード日本代表監督を務めてきた浅田顕氏による次世代のプロロードレーサー輩出プロジェクト「ロード・トゥ・ラヴニール」(ROAD TO L’AVENIR =略称RTA)の記者発表が都内で行われた。

INDEX

▷目標は日本人プロ選手の継続的な輩出


▷「RTA」7つの活動


目標は日本人プロ選手の継続的な輩出

2009年ツール・ド・フランスでは新城幸也、別府史之の2人が出場し、そろって日本人初完走を果たした。
浅田氏は「我々にとって夢の始まりだった。これから日本も行くぞと勢いを感じた。ところがそれ以降、2人に続く選手、超える選手が出てこない状況が13年続いている。日本がロードレースで世界と肩を並べるには、プロ選手をずっと出し続けなければならない。そのためには、どのようなアプローチで何をしていくか考えた結果がプロロードレーサー輩出プロジェクトの『ロード・トゥ・ラブニール』です」と、このプロジェクトにかける思いを語った。

浅田顕氏

「AVENIR」とはフランス語で「計画できる未来」「目指せる未来」を意味する言葉であり、プロジェクトの目標のひとつであるツール・ド・フランスのU23版「ツール・ド・ラブニール」での活躍を目指すという意図も込められている。2022年ツール・ド・ラブニールで個人総合20位以内、ステージ成績6位以内に入った選手の多くが、UCIワールドチームまたはUCIプロチームと契約を結び、プロ選手となっている。
浅田氏の例えではツール・ド・ラブニールはロードレースの「世界版甲子園」と言える大会だという。

「RTA」7つの活動

RTAの活動は上記の図のように7段階に分かれ、包括的に段階を踏み、それぞれの活動が連鎖しながらプロ選手輩出を目指す。
具体的な活動内容は以下の通り

RTA1:パスウェイのPR
各メディアの協力の元、世界のロードレースの魅力を広く伝えつつ、プロチームとの契約にたどり着くまでの世界標準のパスウェイ(道筋)を日本の状況に合わせアレンジし広める。

RTA2:タレント発掘
全国のタレント発掘事業やクラブチームの協力の元、ロードレースの魅力とパスウェイの訴求と共に、タレント発掘活動を実施。特に浅田氏は「他競技からのトランジット(転向)」にも積極的に目を向けると語る。

RTA3:ユースキャンプ
主にU15~U17を対象に、ロードレースの基礎技術と知識の習得、将来へのロードマップ作り、短期欧州遠征によるロードレース戦術の習得を目的にユースキャンプを実施。

RTA4:タイムトライアル定期テスト
世界との差が顕著であり、走力の基盤となるタイムトライアル能力の向上を目的に、国内で唯一世界との比較がある程度可能なタイムトライアル競技の記録会を全国各既存大会の協力のもと実施。浅田氏は「基礎的な走力を養うためにタイムトライアルはU15ぐらいから取り組むべき。必ずしもTTバイクは必要でなく、ロードバイクでもいい」と付け加えた。

RTA5:欧州レース参戦
U19からは国内での十分な身体準備と評価を前提とし、欧州各国内の公式大会レベルのロードレースを中心に本格的に参戦し、評価の高い国際大会での活躍に向けた準備活動を、参加する選手達の異なる国内所属先を考慮したうえで実施。また実力と状況に応じ育成型のUCIチーム結成を視野に入れる。

RTA6:代表チームサポート
世界選手権やツール・ド・ラヴニールを含む年齢別ネイションズカップ等に参加をする日本代表チームへ、より優秀な選手の輩出とその活動へ全面協力する。

RTA7:プロ契約サポート
選手の成長過程において、必要に応じた海外育成型チームへの派遣、実力評価に応じたプロチームとの契約サポートを実施し、2028年以降毎年2名のプロ契約選手輩出を目標とする。


今後は、来年初めから選手募集(RTA5)やタレント発掘事業(RTA2)を開始し、4月からは欧州レースにも参戦(RTA5)。また2023年はタイムトライアル年間6回の実施を予定している(RTA4)。前述したように2028年以降は、毎年2名のプロ契約選手輩出を目指す。最終的な目標は、日本人選手とスタッフを構成メンバーの中心とするプロチーム結成の準備を完了することとしている。

浅田氏は「このプロジェクトに関してはここまでですが、これでなくなってしまわないように土台を作っていかないといけない。連鎖した形が残っていくべき」と訴えている。

関連URL:http://www.cyclisme-japon.net/